アルミ合金について
アルミニウムの特徴
1、比重 | アルミ合金の比重は約2.7と鉄の7.9やチタンの4.5より軽い。 |
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2、耐食性 | 時間経過で自然に酸化皮膜が形成され、自己防護するので鉄のような赤錆を生じることは無い。因みに、アルマイト処理は人工的にこのような酸化皮膜をつける技術だと考えても良いと思う。 |
3、導電性 | 銅の約60%の導電性で銅の約半分の比重である。この特性を生かして、送電線や配電線として利用されている。特に純アルミ系の合金は、導電性に優れている。 |
4、熱伝導性 | 熱を伝えやすいので熱交換器、エンジン部品、やかん等の家庭用品に使用される。 |
5、非磁性 | 電磁気の磁場にほとんど影響されることは無く、磁気を帯びることは無い。 |
6、無毒性 | 毒性が無く、食品類との反応もないと学会で発表されています。 |
7、リサイクル性 | スクラップなどの再生が他の金属に比べて非常に容易く、資源の有効活用や、循環型社会に貢献しやすい金属である。 |
8、反射性 | 以外にもアルミの表面の光は熱、電波をよく反射します。暖房器の反射板や照明機器の反射板、中田製作所の鏡面加工技術もこの特徴を生かしています。 |
アルミ合金の種類
展伸材 | 非熱処理型合金 | 純アルミニウム(JIS呼称1000番台) |
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Al-Mn系合金(JIS呼称3000番台) | ||
Al-Si系合金(JIS呼称4000番台) | ||
Al-Mg系合金(JIS呼称5000番台) | ||
熱処理型合金 | Al-Cu-Mg系合金(JIS呼称2000番台) | |
Al-Mg-Si系合金(JIS呼称6000番台) | ||
Al-Zn-Mg系合金(JIS呼称7000番台) |
鋳造材 | 非熱処理型合金 | Al-Si系合金 |
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Al-Mg系合金 | ||
熱処理型合金 | Al-Cu-Si系合金 | |
Al-Cu-Mg-Si系合金 | ||
Al-Mg-Si系合金 |
展伸材とは
展伸材の例として、A5052P-H34(非熱処理型合金)やA6063TE-T5(熱処理型合金)をあげます。最初のAはアルミの意味で、次に続く4桁の数字は合金の分類を示します。4桁の一番左側の数字は合金系を、左から第3、第4番目の数字は、合金の識別を示す。なお、左から第2番目の数字は、0の場合は基本合金を示し、1以降の数字になると基本合金の改良、派生合金を示します。また、4桁の数字の後のハイフォンに続くHやTを冠した数字は、加工硬化状態又は、熱処理状態の調質を示す質別記号である。
鋳造材とは
鋳造材の例として、AC4C,ADC12,C4C.1などをあげます。最初のAはアルミの意味で、Aに続くC(casting)、DC(Die Casting)はそれぞれ鋳物、ダイキャストであることを示している。詳細につきましては、各種材料メーカー様に御質問下さい。
アルミ合金への表面処理の適正(代表的なものを抜粋)
アルミ材質 | 白 アルマイト | 黒 アルマイト | 硬質 アルマイト | タフラム | 電解 Niメッキ | 無電解 Niメッキ |
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A1050 A1100 | ||||||
A2017 A2024 | ||||||
A5052 A5083 | ||||||
A6061 | ||||||
A7075 | ||||||
・・・比較的容易 ・・・普通 ・・・比較的難しい |
表面処理の内容
①アルマイト・・・陽極酸化皮膜処理のことで、アルミ合金に耐食性酸化皮膜を施すこと。多孔質で電気絶縁性耐摩耗性が高い。
②着色アルマイト・・・多孔質膜の特性を応用し、自然発色法や染色法により着色したもの。黒色が一般的。
③硬質アルマイト・・・アルミ合金の表面処理で陽極酸化皮膜処理のうち、硬度(Hv)350以上のもの。
④タフラム処理・・・陽極酸化皮膜の多孔質皮膜にフッソ樹脂(テフロン)を含侵させ平滑性、耐摩耗性を高めたもの。
⑤電解Niメッキ・・・加工物をメッキ液中で陰極として電解し、表面に金属膜を析出させる電気めっき。
⑥無電解Niメッキ・・・金属塩水溶液中の金属イオンを還元剤に用いて、加工物表面に還元析出する。
アルミ合金の用途例
アルミ合金 | 例 | 説明(使用用途や特徴) |
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1000系 | A1050、A1100 A1070、A1085 |
工業用純アルミを示し、いづれも99.00%以上の純アルミ材料である。因みにA1100はアルマイト後に光沢を良好にするため、Cuが微量添加されている。1050、1070、1085はそれぞれアルミ純度が99.5%、99.7%、99.85%以上の意味である。この系の材料は、加工性、耐食性、溶接性などに優れているが、強度は低い。主な用途は強度の低い家庭用品、日用品、電気機器、熱交換器、銘板、装飾品など。 |
2000系 | A2017、A2024 | ジュラルミン、超ジュラルミンの名称で知られるのが、A2017とA2024で鋼材に匹敵する強度を持つ。Cuを含有しているため、耐食性はやや劣り、防食処理を必要とする。主な使用用途は航空機部品、ロボット部品、自動車部品など。 |
3000系 | A3003 | 弊社では、加工する機会があまり無い。特徴としては、Mnの添加によって純アルミに強度を増加させたもの。主な使用用途は、アルミ缶ボディ、屋根板、ドアパネル材など。 |
4000系 | A4032 | 弊社では、加工する機会があまり無い。主な使用用途は鍛造ピストン材料、ビル建築の外装パネル、事務機器部品など。 |
5000系 | A5052、A5083 | 弊社で最も加工する機会が多い。Mgを含有するため、中程度の強度を持ち、耐食性、耐海水性にも優れている。主な使用用途は、自動機の部品、構造材、車両用など。 |
6000系 | A6061 | 強度、耐食性とも優れているため、主に構造用材として使用される。A6061-T6は、耐力245N/平方㎜以上で、SS400鋼に相当する。アメリカ人の書いた設計には、半導体業界の部品に多く使用されている印象がある。 |
7000系 | A7075 | アルミ合金の中で最高の強度を持つ、いわゆる超超ジュラルミン。主な使用用途は航空機器、産業用ロボット部品など。 |